📖 ｢ [沙] 買った本〈実心の相関形〉｣

沙買った本〈実心の相関形〉

‼️ 🙇 この回の音声は準備中です｡

今回は「実心の相関形」を学びます｡
実心の相関形では主対型の格配列を使うので，
kakůt の回のことを思い出して進めていきましょう｡

〜　相関形の必要性　〜

突然ですが「買った本」を沙語に訳してみてください｡
kakůt を使って，このようになりますね｡

Cuyärt cvom.
（本を買った。）
⇓
cvom kakůlu cuyärt
（買った本）

しかし，kakůt というのは文章が “重い” 語感を与え，
｢買った本」という単純なフレーズのために使うには “重すぎる” のです｡

例えるなら，紙をノコギリで切るような大げさ感があるのです｡
そこで今回はハサミに当たる「実心の相関形」を紹介します｡

〜　相関形の使い方　〜

実心の相関形は，被修飾語となる格体の前に置きます｡
実心の相関形が使えるのは，以下のように修飾句が比較的短い場合です｡

買った本

探していた鍵

会いたい人

では，｢買った本」を実心の相関形を使って訳してみましょう｡
まずは kakůt の時と同じく，修飾句と被修飾語の関係性を文で表します｡

Cuyärt cvom.
（本を買った。）

対格の関係で結ばれていることが分かりました｡
以下の表に従って，対格関係の形を使います｡

-ärt の相関形（単数一致）
主格関係	生格関係	与格関係	対格関係	副詞格関係
-ärtdå	-ärtviå	-ärtdůi	-ärtdů	-ärtdåi -ärtdåm
⇒　完全な表は相関形のページの「実心の相関形」の項目を参照｡

cuyärtdů cvom
（買った本）

これで完成です｡

〜

もう 2 つ練習してみましょう｡
次は「探していた鍵」を作ります｡

Fajulle juip.
（鍵を探していた。）

対格の関係で結ばれていることが分かりました｡
よってこのようになります｡

fajulleců juip
（探していた鍵）

-le の相関形（単数一致）
主格関係	生格関係	与格関係	対格関係	副詞格関係
-lecå	-leviå	-leky	-leců	-lecåi -lecåm
⇒　完全な表は相関形のページの「実心の相関形」の項目を参照｡

〜

最後に「会いたい人」を作ります｡

Mynyptva noschemy.
（人に会いたい。）

与格の関係で結ばれていることが分かりました｡
よってこのようになります｡

mynyptvaie noscha
（会いたい人）

-va の相関形（単数一致）
主格関係	生格関係	与格関係	対格関係	副詞格関係
-vaiå	-vaviå	-vaie	-vaiů	-våm
⇒　完全な表は相関形のページの「実心の相関形」の項目を参照｡

〜　注意事項　〜

一つ気をつけなければならないのが，
飾定の連体形の時とは違い，
実心の相関形の格関係は，被修飾語との一致によるものではないということです｡

｢赤い X（飾定･相関形）」の「赤い」は
｢ X 」につられて格一致しましたが，

｢買った X（実心･相関形）」の「買った」は
｢ X を買った」のか「 X が買った」のか，関係性（ = 格関係）で屈折するのです｡

混乱しがちですが，
致命的なミスが生まれやすい部分なので注意しましょう｡